【群馬県・南牧村】高齢化率日本一の村で挑戦する若者 / 田中陽可さん

2017/09/17

高知でライターと海外旅企画の運営をしている中澤 (35歳)です。

この度は、ONEれいほくのページで、れいほく地域に住む若気を取材し、そのインタビューを載せていく「若気インタビュー」のライターを努めさせていただいています。

そんな第八弾は高知県をまたまた飛び越え、群馬県の南牧村という日本で一番高齢化の進む村でその現場についてお話を伺ってきました。れいほく地域に活かせる内容が盛りだくさんです。どうぞご覧ください!

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近年、「田舎」や「移住」という言葉をニュースや新聞で耳にします。

実際、地方・田舎でも少子高齢化が進み、生まれ故郷で育ったのちに仕事を求めて親元を離れ、そのまま都会で暮らし続ける人が増えています。

その地区に住む人口の半数以上が65歳以上の集落のことを「限界自治体」もしくは「限界集落」と呼びますが、今回、関東にある一つの限界集落の村を訪れました。

その場所は、群馬県甘楽郡にある「南牧村」という村です。

南牧村の人口は、約2000人。群馬県の南西部に位置し、標高800~1400mの山々に囲まれたいわゆる中山間地域の村です。

滝の名所であるこの村は、実は日本で一番高齢化率が高い村です。

2014年に民間シンクタンク日本創成会議が発表した消滅可能性自治体の中で、南牧村は最も消滅の可能性が高い自治体とされました。

そんな南牧村に、数年前から東京から移住して活発に活動している若者がいると聞いたので、その若者と南牧村役場の方に詳しい村のお話を聞いてきました。

目次

“幸”齢化日本一の村へ

(まずは、南牧村役場の総務課の担当の方に、村の現状についてお話を伺いました)

 

南牧村役場 総務課長 茂木さん :南牧村は、別名「滝の里」と呼ばれるほど、村内に20ヶ所以上の滝の名所があります。

冬でも比較的積雪にみまわれることが少ないので、トレッキングを楽しめる山々もたくさんあります。

夏には、関東最大級と呼ばれる火とぼしというお祭りもひらかれます。

(国の無形民俗文化財にも指定されてた五穀豊穣や無病息災を願う火とぼし祭り)

 

そんな南牧村ですが、自治体としての現在の状況は、高齢化率60パーセントを越える人口分布です。

若い人の移住が多少はありつつも、人口の減少を上回る流入がないのが現状です。

そこで、村を存続させていくために、南牧村として、いくつかの戦略を打ち出しています。

人口減少の克服と村の創生を実現するため、高齢化ではなく、幸齢者日本一を合言葉に、高齢者、若者、子供の各世代が持つ力を共有して、それぞれが支え合い、いつまでも活躍できる共助の村を目指していきます。

 

以下はそれらの一部ですが、高齢者の活躍の場づくりとして、高齢者の持つ知識や経験などの「高齢力」を地域貢献に生かすとともに、高齢者が健康で生きがいのある生活を送り続けるために、活躍の場の提供を考えています。

地域内の資金循環システムとして、将来的に無商店化が懸念される中で、村内商店の維持存続を目的とした村内での消費喚起をおこない、食料品や日用品などを地域内で購入できる資金の循環システムの構築も検討しています。

道の駅では、かあちゃん本舗という農産物加工研究会の加工品販売を行なっていますが、とても好評を得ています。

(西上州やまびこ街道沿いにある道の駅オアシスなんもく)

 

新たな交流や集客としては、都市住民や海外からの観光客に地域の特性を生かした交流の場を提供し、新たな交流を推進するために、歴史や文化を見つめ直し、観光に活用できるようにしていきます。

具体的な事業としては、都市農村交流型体験農園の整備、河川敷整備事業、伝統文化の調査保存、空き家の古民家を改修し多目的に利用、短期滞在型イベントの実施を検討、住民参加型の交流組織の構築を検討、企業と連携した交流事業、職業体験の実施、多世代交流カフェ整備事業、などなど、多数のことを進めています。

(村内に二十ヶ所以上の滝の名所がある南牧村)

 

目標として、年間二世帯の移住者が来てくれるよう、村の配備を整えています。

南牧山村ぐらし支援協議会のページに古民家バンクの詳しい空き家情報や、なんもく四季報などをお届けしているので、一人でも多くの人が南牧村に興味を持ってもらえるように、尽力していきます。

 

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――― 取材後、訪れる前に抱いていた印象とは、大きく異なるものを感じました。

他の役場の職員の方もとても好印象で、ニュースで言われるような悲壮感漂う雰囲気もありませんでした。

現実問題として様々な問題を抱えながらも、役場としても「この村を守っていきたい」という熱心が想いが伝わってきました。

アメリカ留学後に南牧村へ移住

(続いて、東京から南牧村に移住してきた田中陽可さん(27歳)にお話を伺ってきました。

 

田中さんは、都内の高校を卒業後、アメリカの大学に入学して、卒業後、世界一周の船ピースボートにボランティアスタッフとして乗船。

その後、都内で通訳や翻訳の仕事をした後に、地域おこし協力隊の赴任先として南牧村にやってきました。

いまは、肥料と農薬を一切使わない「自然農法」の農業で多品目の野菜を作りながら、村内の子供たちに英語を教えています。

(その昔、馬が飼われていたという”馬場”と呼ばれる広大な田中さんの畑)

 

田中さんは、21歳の時に、日本で農業をやろうと決意したそうです。

大学のアメリカ生活が長かったものの、卒業後は日本で大地で農業をしたいと考えていたとのこと。

ただ、本の知識しかない実地の農業経験がなかったので、はじめは地域おこし協力隊の制度を利用して、就業時間前に畑の面倒を見たりして、実地の経験を重ねていったそうです。

 

田中『いま年間を通じて作っている野菜は、ごぼう、トマト、なす、オクラ、サツマイモ、里芋、生姜、ウコン、じゃがいも、ビーツ、インゲン豆、落花生、大豆、とうもろこし、かぼちゃ、きゅうり、シソ、人参、大根、玉ねぎ、にんにく、などなど、季節に応じた多品目な野菜を育てています。』

 

南牧村の土地は、斜度があってとても水はけがいい土地だそうです。

その代わり、水を貯めにくいことからお米は作れないので、土地が斜めで陽がよく当たり、太陽のエネルギーを吸収しやすく、植物が光合成しやすいそうとのこと。

(冬場は葉物野菜はあまり作らず、保存がきく根菜類を作るとのこと)

 

田中『ここは寒暖の差があるので、肥料をやらずとも山の土は栄養を持っているため、根菜類が自然と美味しくなるんです。

北海道の人から「ここの芋は、北海道のよりも美味しいね」とお墨付きをもらったほどです。

ぜひ、南牧村に来たらこの土地のお芋を食べてもらいたいです。』

飢餓をなくすための自然農法

彼が農法として自然農法を選んでいる理由は、耕作放棄地で実施するのにとても適しているからだそうです。

というのも、土から肥料が抜けきっていて、土の中に微生物がいることで肥料と農薬も使わなくても微生物の力を借りて栽培できるから。

 

田中『“もっと日本に自然農法が広まれば、アフリカの飢餓問題にも通じる解決策が見出せるのでは?” と思っています。

日本国内も、南牧村のような田舎に行けば行くほど、土地は余っているので、その資源を使って自然農法の野菜を生産したらいいと思うんです。』

 

飢餓問題についてはアメリカの大学で学んだそうです。

勉強していくなかで、英語でランドグラビング、日本語で土地収奪(先進国がアフリカやアジアなどの途上国の土地を買い、そこで作物を栽培・収穫して自国で販売すること)という問題が世界で起こっていることを知った田中さん。

例えば、私たち日本もアフリカのモザンビークの土地を買って、その土地でトマト缶のトマトを大量に栽培しているそうです。

そんな中、モザンビークの子供の2/3が、毎年栄養失調で亡くなっているという事実。

どうしてアフリカで育てた作物なのに、現地の人々は食べることができず、飢餓に苦まなくてはいけないのか?この仕組みを変えれないだろうか?と思ったことが「自然農法をやろう」と思ったきっかけだったそうです。

(畑で作物を作っているときが何より楽しい という田中さん)

田舎で英語の家庭教師

自然に農業以外の仕事として、家庭教師で英語を教えている田中さん。

自宅に出張して教えるのがメインですが、公民館や学校で教えることもあるそうです。

小学生には簡単な英会話、中学生には英語の受験対策、大人には海外旅行で使える実用英語など、年齢によって教える英語を変えているとのこと。

村には、ALT(外国語指導助手)の英語教師もいますが、本場の英語を教わるよりも、日本人に教わりたい気持ちがあるようです。

 

田中『村の中学校で、英語トークの時間をもらっているのですが、多くの学生は英語というだけで苦手意識を持ってしまい、耳をシャットダウンする傾向がありますが、南牧中学校の生徒は目を輝かせながら聞いてくれます。

僕にとってはそれが印象的でした。村の子供とはいえ、英語を学びたいんだなと意欲を感じました。』

(アメリカ以外に世界27カ国を訪れてきた田中さん。海外の友達も南牧村を訪れてくれるようです)

つながって生きている感覚

東京に戻れば、いろんな競争やチャンスがある中で、ここ南牧村で挑戦していきたいという田中さん。

それは、ここの人々はなにより気持ちがあたたかくて、一人一人が助け合っていきている感覚があるから。

畑で取れた野菜をご近所に配ったり、逆に近所のおばあちゃんから手料理をいただいたり。

都会の暮らしだと、そういうふれあいと遮断されている風潮がありますが、ここ南牧村には自然とそれがあるそうです。

この土地に住んでいるというだけで、地元の人とつながることができる

 

田中『そういう場所でこそ、世界の問題解決の糸口がつかめるかもしれないと思っているので、これからもこの南牧村で挑戦していこうと思っています。』

 

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――― 将来的には消滅しかねないと呼ばれる限界集落の村で、たくましく活躍している田中さんの姿と言葉が、高知に戻ってきてからも、とても印象に残っています。

自然あふれる村の将来に希望を持ちながら、自然農業の作物を作り、子どもたちに学びを配っている田中さんの行動が、限界集落・南牧村に新しい風を吹かせてくれることを願っています。

 

《田中陽可さんのWEBページはこちら》

👉 イニアビ農園

 

記事を書いた人

中澤 

ライター兼海外旅企画運営。自身のポッドキャスト番組でインタビュー取材をしながら、海外旅企画の引率やプランニングを行なっている

 

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